技術担当:服部
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品質保証と製造物責任
ここでは樹脂成形プロセスに係わるQ・Aを纏めてみました。
測定子機は次のことに留意して樹脂成形機上に配置してください
①プラテン上や温度の高いところは避けてください
装置は電子部品で構成されており、摂氏85度を超える高熱には耐えられません。また、外装もABS樹脂ですので、高い温度の場所では溶解する危険性があります。
②金属板の内側への設置は避けてください
無線親機と測定子機の間に金属板があると電波が遮断されて十分な通信距離が確保できません。樹脂成形機のカウリング外側など、外側の位置に設置してください。
③電線を挟まないように配線してください
熱電対の補償導線やACアダプターのコードの配線があり、これを挟む危険性があります。コードの引き回しを決定する際にご検討ください。
無線親機用に1mのUSBケーブルが付属しています。これを用いて次の事柄に配慮して配置を決定してください。
①出来るだけ高い位置に設置する
無線はその特性から無線親機が高い位置にあった方が通信距離が伸びます。特に測定子機が見通し位置に有った場合は通信が安定致します。
②金属板の近くは避ける
金属は電波を遮蔽・吸収する特性が御座います。従って、金属板の近くは避け、できるだけ木材や合板に無線親機を設置するようにしてください。
ここではMDTW5型の使い方の内、条件を設定する方法について説明します。
ここで言う許容値とは樹脂成形が正常に行われている範囲の温度を指します。許容範囲は許容上限値と許容下限値の間で定義され、パソコン画面のグラフ上では許容上限値が赤線で許容下限値が黄色線で表示されます。
ソフトウエアは測定値が許容上限値を超えた場合と測定値が許容下限値を下回った場合に警報を発するようにプログラムされています。
パソコン上で測定値のグラフを表示する場合にグラフ画面の上端が表示上限値、同下端を表示下限値になります。この2つの値を変化させることで表示領域を可変させることができ、設定を変えることでグラフを高領域で、または詳細を見ることが出来ます。
但し、グラフ上に許容上限値と許容下限値のバーを表示させるには許容上限値<表示上限値と許容下限値>表示下限値の条件で設定する必要があります。
温度設定はディフォルト(初期設定値)では樹脂射出成形に用いられる材料の溶解上限温度を許容上限温度、同材料の溶解下限温度を許容下限温度、表示上限値は許容上限値の10%増し、表示下限値は許容下限値の10%減らしで設定されております。しかし、本来の許容値は成形型の温度とすべきであり、樹脂の溶解温度より若干高くする必要があります。しかし、その割合は成形機によって異なるため、従来から用いられている管理指標から許容温度を設定してください。
ここで言う校正とは温度や圧力と言った測定値を元の数値に再計算する場合に用いる係数を再計算する事を言います。もともとアナログ値だった測定値を数値化する場合はある一定の方法で行われ、その際に係数が与えられます。その係数は次の式で与えられます。
測定値 = Gain*(A*数値化値 + B)
凡例:Gainはアンプの利得の事でMDTWシリーズでは1です。
数値化値はアナログ値を数値変換した際に得られた数値です。0~2048の間です。
AとBは測定値を計算する為に必要な係数です。
校正とはAとBについて再計算すると言う意味で、作業場でお使いの計測器の値を2点、それに対応するMDTW5型が示す値2点の間で計算されます。校正されたAとBを用いて計算された測定値は絶対値ではなく、職場で使われている測定器を基に校正された相関値です。
検量線とは上記で説明した変換係数を変えることなく小さな測定値の揺らぎを校正する方法です。検量線は次の式で与えられます。
校正測定値 = C*測定値 + D
この場合も作業場でお使いの計測器の値2点とそれに対応するMDTW5型が示す値2点の間でCとDが計算されます。この場合、AとBは変更を受けません。
尚、AとBを再計算する校正ではC=1とD=0が適用されます。
樹脂射出成形プロセスに於いて設定を間違えるとこのような問題が発生致します。
成形型の温度が異常に高くなった場合は射出された樹脂が時間内に十分固まらす、軟らかいままで取り出される為、製品の寸法精度や形状が悪くなる。その為、規格外品として不良品として分類される可能性が高くなる。
樹脂は十分な溶解温度に達しない場合は粘性が非常に高くなり、設定されている圧力では樹脂を成形型の中に十分押し込めず、簾ができたり、形状不良になり易い。従って、成形型を樹脂が十分溶ける温度に維持することが大切となる。しかし、成形型は大きい上に表面を外気に接しているので、樹脂の溶解温度下限に設定すると外周部では中心部より温度が下がるため、この問題が起こり易い。
確かに樹脂成形機には温度計が標準装備されています。また、測定は継続的に行われているので履歴のデータも入手できます。それなのになぜMDTW5型が必要なのでしょう?
樹脂成形機に装備された温度計は温度制御装置としての機能を持ちます。つまり、この温度計の値でヒータ装置を制御するのです。従って、常に決められて1点の値のみをとり続けます。MDTW5型の温度計は成形型の何処でも設置でき、そこの温度を継続的に測ることができます。成形型はサイズが大きいので、測定する場所によって温度が異なる。これは計りたい部分の温度を測ることができるわけです。
樹脂成形プロセスに於いて温度測定以外に重要な製造監視係数は樹脂の射出圧力である。製品の品質を保証する為のトレースデータとして温度以外に圧力データを納品時に製品と併せて納入する事を義務つけているのは自動車業界である。
圧力は温度と並ぶ重要な製造変数であるが、温度ほど重要視されていない。MDTW5型では圧力アンプのアナログ出力の測定と言う形ではあるが、圧力測定が可能となっている。