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RFEM21400/LPR2430ERAは無線ネットワークを簡単に開発できる無線モジュールです。かと言って最初からPC基板を起こしてしまうと失敗する事が考えられますので、先ずはユニバーサル基板で実験をして於いて、それからPC基板を起こす方法をお勧め致します。
RFEM21400/LPR2430ERAは内部の設定で、親機、ルータ(1ポップのみ)、子機の3種類に使い分けられます。ここでは親機と子機のハードウエア製作に付いてユニバーサル基板を用いて説明していきます。
親機はコンピュータとUSBで接続し、星型無線ネットワークを構成する場合の要になります。USB接続はCDC(Control Data Class)になり、コンピュータから見ると仮想COMポートになります。Windowsからアクセスする場合はポート数が制限されますが、RS232C感覚で使えるのでソフトウエアをC,C++,C#等の言語で書く場合は簡単に制御することができます。
回路構成はコンピュータと無線モジュールの間にUSB to UART Bridge素子を挿入するだけです。 USB to UART Bridge素子は沢山の素子が市販されていますが、代表的なものに
シリコンラボラトリーズ社 CP210x シリーズ
フューチャーテクノロジー社 FT232RL
があります。これらの素子を実装した基板も市販されていますので実装済み基板を使うと便利です。ここではマルツパーツ館が販売するCPA02基板を使用しました。この基板に搭載されているUSB to UART Bridge素子はCP2102GMです。
左の写真はタカチ電機製のプラスチックケースSW-65専用の基板(TNF39-59)上に回路を作成し、SW-65に組み込んだ親機の例です。USBコネクタは基板裏面にA♂コネクタを装着して、パソコンのUSB端子に直接差せる形にしてあります。
CPA2基板は購入時にコンデンサー3個(0.1uF,1uF(電解),4.7uF(電解))とヘッダーピン(10pin,4pin,3pin)が実装されていません。まずは未実装の部品を実装します。2つの電解コンデンサーは高さがあるのでSW-65ケースには収まり切らないので、上の写真(右下)では横に寝かせて実装してあります。ヘッダーピンは丸ピンヘッダーを用います。
写真左は実装を終えた図です。抜き差しできるようにTNF39-59基板上にも受け用のヘッダーを用意しました。
RFEM2400/LPR2430ERAは独特な形状をしている為、市販されているSOP→DIP変換基板ではDIP化することはできません。また、小さいスペースに収める為には小さな変換基板を選ぶ必要があります。SOP→DIP化基板のピン数は通常28ピンの上は40ピン又は48ピンで30ピンのものはありません。そこで28ピン用のSOP→DIP変換基板を用いることにしました。
左の図は今回使用したダイセン電子工業製DO28を縦に割って使うことにしました。加工方法は真ん中にナイフで線を入れ、その線を深くして行き、基板をその線に従って割ります。割り終わったら割った断面を鑢で直線に慣らします。最後にアルコールで基板を拭いて完成です。最後のアルコール拭きは是非行ってください。割り加工中に手の油が端子に付いて半田が乗りにくくなるのを防ぐ効果があります。
RFEM2400/LPR2430ERAは基板側面両側に15ピンずつ計30ピンの端子が出ています。ピンピッチは1.27mmです。従って、RFEM2400/LPR2430ERAはピン番1,15,16,30がグランドなので1番と30番を繋がないことにしてピン番15と16でしっかりグランドを取る方式にします。
DIP化の手順を順を追って説明します。
①DO28基板の中央にナイフで線を引き、それに沿って2つに割ります。
②割ったDO28基板をブレッドボードに乗せ、ヘッダーピンで仮止めをします。(この作業はピン間隔を2.54mmの整数倍に間隔を揃える作業で、これを怠ると受け用のピンヘッダーに上手く差せなくなります。)
③裏面に弱い接着剤(ボンド使用)を縫ったRFEM2400/LPR2430ERA基板をピン位置に併せて置きます。この時、ピン番1と30は接続が無い状態にします。
④接着剤が乾いたら、半田付け作業に入ります。RFEM2400/LPR2430ERAの基板側面の半円上の端子とDIP化基板の端子を半田付けしていきます。この時、半田がRFEM2400/LPR2430ERAの裏面パッドにまで半田が充分回るよう、各ピン毎に2秒程度半田鏝で暖めて、半田の回りを確認します。(側面端子と裏面パッドが微妙に断線している場合がある)
⑤側面ピンの半田付けが終ったら、今度はDIP化基板のピンヘッダーを半田付けをします。
先ず、ユニバーサル基板に14ピンに切ったピンヘッダーを2本差し込みます。その上に④の半田付けの終ったDIP化基板を乗せ、DIP化基板とピンヘッダーの直角を確認したうえで半田付けを開始します。
⑥最後に目視検査で半田ブリッジ等が無いか、確認します。
ここでRFEM2400/LPR2430ERAのDIP化作業は終了です。しかし、通電確認作業が残っていますので次に進んでください。
左図はCPA2を用いた時の配線図です。接続方法はCPA2とRFEM2400/LPR2430ERA間の接続はRXD端子とRADIO_TXD端子とTXD端子とRADIO_RXD端子を接続します。両端子を接続する際にプルアップまたはプルダウン抵抗は不要です。また、フォロー制御を行いませんのでCPA2のCTS端子とRTS端子の間はショートします。RFEM2400/LPR2430ERAの電源はVBUSからの電源をそのまま端子14に接続します。端子14には電圧レギュレータが挿入されていますので、+3.3Vに落とす必要はありません。CPA2のリセット回路(12番ピン)は5kΩ抵抗を介してVddに接続します。
RFEM2400/LPR2430ERAのリセット回路(17番ピン)はADC_VDD(+3.3V、5mA)から5kΩを介してタクトスイッチに繋げてグランドに配線します。このリセット回路は余り使いませんが、あると便利です。
DB1はリンク状態を示すLEDです。親機の場合は通常点灯します。DB2は送信状態を示すLEDです。親機が電波を発した時に短く点灯します。送受信の確認に便利です。
先ずは上記回路図を参考に親基板を作成します。親基板はタカチ電機製のTNF39-S9基板を使用しました。親基板には左の写真が示す様、DIP化したRFEM2400/LPR2430ERAや基板化したUSB to UART Bridge素子CP2102GMや、LED、スイッチ、USBコネクタ類が装着されます。
配置の決め方は先ずはRFEM2400/LPR2430ERA基板の位置を決め、CP2102GM基板の位置を決めてから、他の部品の位置を決めましょう。特にRFEM2400/LPR2430ERA基板のピン間隔はDIP化基板を作成した時に決まるので寸法合わせをしてから丸ピンヘッダーソケットを半田付けします。TNF39-S9基板は取り付け用穴が有りませんので、穴は4隅にあけてください。空きスペースが少ないのでφ2mmのビスを使うのが良いでしょう。
親基板を様々な角度から見た写真を示します。
ケースの組み込む前に親基板にDIP化したRFEM2400/LPR2430ERAとCP2102GM基板を装着します。丸ピンヘッダーは折れ易いので気を付けて押し込んでください。親機用のケースとしてタカチ電機製のSW-65を使用しました。 親機のケースは裏面にUSBA♂コネクタが垂直に出る穴加工をするだけです。USBコネクタが親基板の裏面から垂直に出る形になりますが、パソコンのUSBコネクタが物理的に親機を保持してくれるので実験には便利です。
ここではRFEM2400/LPR2430ERAに通電することで、ファームウエアが起動するかを確認します。当社での出荷時には通電確認を行い、ファームウエアが正常に起動することを確認していますので、起動しない場合は半田付けを見直してください。
通電作業は次の手順で行います。
①電流計付きの安定化電源または電流計を挿入した安定化電源を用意する。電圧設定は+5Vです。電源を切っておきます。
②クリップでDIP化基板の14番ピンに安定化電源の+5V、15番ピンにグランドを接続します。
③安定化電源の電源を入れます。
④+5Vを印加すると電流計が直ぐに10mA前後を指します。それから1~2秒後に40mA前後に上昇します。40mAに上昇することはファームウエアが起動したことを示します。
ファームウエアが起動しない場合の対処方法
ご注意:+5V印加時に10mAを越える電流が流れていた場合は至急作業を中止して、DIP化基板上の配線又は半田付けを確認してください。
①強制リセットを行う:(10mAから変化が無い場合)
DIP化基板の17番ピンはリセットピンですので、このピンを一時的にグランドに落とし、話して、リセットを行う。
この後は一旦親機の動作確認を行ってください。ソフトウエア開発支援のUSBドライバーのインストールとRFM社設定アプリケーションをダウンロード/インストールして、親機の動作状況を確認してください。親機が正常に稼動した後に子機の開発をお勧め致します。
左図はユニバーサル基板で作成した親機をノートパソコンのUSBスロットに差し込んだ時の様子を示します。若干パソコン作業がし辛くなるのでその場合は延長USBケーブル(A♂-A♀)を使用します。
親機をユニバーサル基板で作成する時とPC基板で作成する時の最大の違いはPC基板のグランドの配置です。特にRFME2400/LPR2430ERAをPC基板に直接半田付けをする場合はPC基板のグランデ形状でその性能、特に電波の飛びが大きく変わります。また、親機と子機の偏波面を合わせる事が通信の信頼性を向上させることができます。
電波の特性を基に親機をPC基板化するノウハウについて説明していきます。
ユニバーサル基板で実験機を作成する場合、RFEM2400/LPR2430ERAをDIP化します。それに反してPC基板では高さ方向を低くする為にRFEM2400/LPR2430ERAをPC基板に直接半田付けします。従って、ユニバーサル基板の時と部品の位置関係が変化し、その結果電波が放出される環境が変わります。
無線で重要な事は如何に電波を飛ばすかであり、電波を飛ばす為に重要なことが次の2点です。
①電波を吸収し、反射する金属部品との位置関係
②アンテナと高周波グランドとの位置関係
上記、①では大きな金属片はアンテナの近くには配置しないことです。どうしても配置しなければならない時はできるだけ遠くに配置します。また、電波が放出される方向と反対側(例えば、基板の裏)に配置します。②ではアンテナの下にはベタ金属を敷かない。一般的にPC基板はグランド部分(グランドプレーン)を大きく取る傾向がありますが、グランドプレーンがアンテナの下に来るとRFEM24000/LPR2430ERAの場合、チップアンテナを使っている関係から電波の輻射効率が低くなります。(アンテナをグランドプレーンに対して垂直に立てることが出来れば別ですが)
兎に角、ユニバーサル基板で要綱だった配置がPC基板でそのまま良好だとは限らないとご理解ください。詳しい設計方法は順を追って説明していきます。先ずは回路図から。
左図はCP2102GMを用いて設計したときの回路図です。回路図上ではPC基板化してもそれほど変化はありません。強いて違いを上げるとすると。。USBラインについて通常は+D及びーDラインに33Ω程度の抵抗や、ダイオードでプルアップ及びプルダウンの保護回路を入れ、サージ等に対処することをお勧めしますが、故意に電極を触ることがなければ、保護回路は不要です。
CP2102GMを手実装する場合に問題になるのは裏面パッドの半田付けですが、CP基板の裏面に小さなスルーホールを設けて、そこから半田を注入する方法があります。しかし、試験実装時や開発時に通信頻度はそれほど高くないので裏面パッドを半田付けしなくても放熱は十分と判断されます。しかし、製品作成時には必ず裏面パッドを半田付けしましょう。
LEDはセルフパワー用緑色、リンクステータス用黄色、送信ステータス用赤色と3つ用意しました。親機設定(ベース設定)の場合、RFEM2400/LPR2430ERAは通電時にはリンクステータスが常にONの状態ですが、ベース設定であることが判ります。送信ステータス用赤色LEDは送信する度に光るので、ソフトのデバッグ時やネットワークの稼働状況を確認するのに役立ちます。
左図は当社が実際に製品として使っていた親機のPC基板のレイアウト図です。親機は高い位置に吊り下げて使うという条件と既製品のプラスチックケースを使うとの限定から、基板上部にRFEM2400/LPR2430ERAを横置きで配置し、USBA♂コネクタを下向きに一番遠い位置に配置しました。(参考:子機のRFEM2400/LPR2430ERAの配置も偏波面を合わせる為、横置き)
PC基板のグランドプレーンはチップアンテナ直下については極力削減してあります。これはチップアンテナのアンテナ面とグランドプレーンは平行になってしまうのを避けるためです。
工事中